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6/28 夏祭浪花鑑

2008年06月29日
クールな舞台です。

2008年6月28日『夏祭浪花鑑』@Bunkamuraシアターコクーン

演出:串田和美
出演:団七九郎兵衛・・・中村勘三郎
    一寸徳兵衛・・・中村橋之助
    徳兵衛女房お辰/☆玉島磯之丞・・・中村勘太郎
    傾城琴浦/☆徳兵衛女房お辰・・・中村七之助
    三河屋義平次・・・笹野高史
    大鳥佐賀右衛門・・・片岡亀蔵
    釣船三婦・・・坂東彌十郎
    団七女房お梶・・・中村扇雀
   ※6月20日以降は☆の配役になります。

6月19日→1回目


私の夏のお祭。

もう今日は、団七が格好良くて、格好良くて仕方がなかった。
荒々しいのに、洗練されてもいる。
動きが止まるその瞬間の身体が描く「型」っていうのは、
これ以上ないんじゃないか?ってほど、洗練されていたような気がした。
勘三郎さんの身体が芸術品だな、って思う。
その芸術の中に宿っているのは、猛々しい純粋な魂。
それは「美しい」っていう言葉から、パッと連想されるものではないのだけれど、
でも、これも紛れもなく「美しい」ものだと私は感じた。
だから勘三郎さんの団七が格好良く見えて仕方がなかったんだと思う。

途中から団七好きだ~って想いが、じわじわと溢れてきてさ。
始めは喧嘩っぱやくて、でも粋な男の格好良さ。
段々とそこに悪の魅力のようなものも加わってしまう。
舅殺しの時の団七は、始めの団七とは別人。
祭の混沌と共に、自分自身を見失ってしまった人間の持つ危うさ、狂気が漂う。
粋で、人情深い男であった団七に、アウトロー的な魅力がぐっと加わる。
団七自身が望んだことではなかったとしても、結果としてそうなってしまった訳で、
その根底にあるのが、祭の得体の知れないエネルギーで、
観客もその力の渦に飲み込まれるんだ。団七と一緒に。

前回見たときも、舅殺しの場面の影が印象的だったけれど、
あの影は、今の世の中を映し出しているように思えた。
団七が義平次を殺める姿。
役者・中村勘三郎と笹野高史によって、
その姿は実体を持ってこの目で確かめることができる。

じゃあ、あの影は?

あの影は団七でもない、義平次でもない。
ましてや勘三郎でもないし、笹野高史でもない。

誰にでも団七になる時が、義平次になる時が訪れるかもしれない。
事実、その時が訪れてしまった人たちが、
毎日のようにTVのニュースで放送されては、忘れ去られている。

あの影は、そういう全てを表す影。

そう見えた。
歌舞伎と言う演劇が、こういう形で今現在と繋がっていく。
深い、深い、楽し~よ~『夏祭浪花鑑』。

誰にでも訪れてしまうかもしれない事だから、
義平次は、あの程度の卑しい男であるぐらいがちょうどいいんだと思えた。
前見たときは、義平次ふざけすぎじゃ?って少し思ったんだけど・・・

義平次は成敗すべき大悪党じゃないんだよね。
そして団七も「善」の側の人間だけど、ステレオタイプのヒーローではない。
二人とも実は結構普通の人たち。
勧善懲悪の物語じゃないんだ。
『その方が気持ちが良いのに』と少し違和感を感じたのが前回で、
今日は、その微妙さにまた新たな魅力を見た。

だって団七がヒーローで、義平次が大悪党だったら、
言い方は悪いけど、ヒーローが大悪党を殺して当然。って思うでしょ。
この場合、倒すところにカタルシス。
だけど『夏祭浪花鑑』は違う。
まず、絶対に殺すべき人ではない人を殺めてしまった救いようのない罪がある。
その三日月形の罪を額に負いつつ、
でも全てを超えて、走っていくところにカタルシスがあるんだ。
義理も人情も罪も、何もかも、全てを抱えて、突っ走る。
だって、祭だから。

やっぱり団七、大好きだなぁ。
ステレオタイプのヒーローではない。って書いたけど、
でも団七ってヒーローだとも思う。
格好良いんだって!

今日は、別に見るつもりなかったんです。
高校時代の友達と海辺でBBQしてて、終了したのが14時。
一度は友達たちと海見に行こうかと思ったけど、
BBQやる前に海をチラっと見たら、足を付けたくないほど赤くにごっていて、
天気も良くないから景色も大して良くない。
明日はバイトで絶対にコクーンまで見に行けないし・・・
って思ったら、先に帰ると言っていた友人と共に、駅までのバスに乗ってました。

渋谷まで歌舞伎見にいこ?

誘っても誰も乗ってくれなかったので、じゃあ独りで行くしかないもん。
ってことで、コクーン歌舞伎を初立ち見観劇。
この立ち見ってのが、視点が違って面白かった。
義平次が沈んでいく姿がよーく見える。
平場は平場でまた違った臨場感があったけれど、
義平次が沈んでいく様子は、よく見えなかった。

沈む姿を見つめていて、笹野高史という役者の心意気を見る。

彼、あの泥水の中に、
口を開けたまま沈んでいきました。

『寸前で閉じるだろうな。』と思って見てた。
でも私が見ていた限りだと、閉じずに逝ってしまいました。
役者である笹野さんのその姿に心揺さぶられた。

卑しい、ちっちゃい、人間的にちっちゃい、汚い、醜い、
でもどこか憎めない笹野さんの義平次。
義平次が彼であるということに、大きな意味があるのを実感。

これはわからなくても良い事だったんだけど、
沈んだ後、どこに身を隠しているのかも、なんとなーくわかって、
それはそれで新たな発見でもあり、ネタバレ的な感じがちょっと面白かった。

にしても、本当に泥まみれの義平次は妖怪だね。
この義平次も影と同じで、少し、人格ってものが消えて、
もっと広い意味を持たせているんだと思う。
醜さや、恐怖の表れ、と言ったような。
こうやって二重にも三重にも見えるところが演劇って面白いんだと思う。
凄い演劇してるよね、夏祭浪花鑑。

歌舞伎界の私の贔屓、中村勘太郎。
今日、友達とバイバイして、独り渋谷までやってきたのは、
役替わりがあったから・・・っていうのもある。
勘太郎の磯之丞。これはちょっと見ておきたいでしょ。
あの愛すべきアホぼんぼんはw

私が中村勘太郎という歌舞伎役者を贔屓目で見てしまうせいも、
多少なりともあるとは思うけれど、
でも、彼が磯之丞を演じることで、磯之丞の比重が上がったように感じた。
芝のぶ氏の磯之丞も、品があって、キレイで、
でもちょっと考えが足りてませんよ?坊ちゃん。な感じがあって良かったと思うんだけど、
勘太郎がやると、芝のぶ氏にはなかった真ん中の力を感じるというか、
物語の中心に食い込む役だな、っていうのをより強く感じた。

それでまた憎らしいほど勘太郎の芝居って的確なんだ。
台詞の間も良いし、心情を表す動作もキレイだし、安心して観る事に集中させてくれる。
だけど根底に心がある。
その安心感が私は凄く好きで、だからファンなんだと思う。

この人、優しいだけのほがらか兄さんかと思いきや、
結構シニカルだったり、ダークな面も持ち合わせてるな、と感じる時もある。
そのシニカルさや、ダークさを、ほがらかさで覆っているところがまた好き。
凄く良い奴に見えるけど、実際そうでもないんじゃないかな?

磯之丞ってそんなの出番は多くないんだけれど、見て絶対に損のない磯之丞だった。
恋人の琴浦が、前半磯之丞を演じた中村芝のぶで、
この芝のぶ琴浦ってのも、また可愛らしかったなぁ~。
こちらも見て損のない琴浦。
ヤキモチ焼いたりしてるのが、可愛いんですよ。
磯之丞と二人で、勝手にバカップルやっててください、っていう。

前半勘太郎が演じた、徳平衛の女房お辰。後半は、七之助。
個人的な好みで言えば、勘太郎のお辰のが好きだった。

顔に自ら傷をつけてまで、名誉を守り、主君に尽くす。
ここまでの思いにより説得力を感じて、
更に女らしいいじらしさも感じさせたのが勘太郎のお辰。
三婦に認めてもらって、立ち上がる時。
ここが素敵だったんだよー。
頬の痛みに顔を歪めるんだけれど、三婦が見ていることに気がつき、
ふっと表情を和らげ、笑顔を作って立ち上がる。
この表情の柔らかさ、そしてその裏にある女らしい強さ。
意思の強い、良い女なんだな、っていうのをその仕草から感じた。
足りなかったのは、顔の色気か。(って、これ役として致命的じゃんw)

お辰は良い意味で心が無骨であって欲しい。
七之助のお辰は、そりゃキレイではあるけど、その無骨さに欠けた気もする。
全体が軽い。
それが七之助の魅力でもあるのかもしれないけど、線が細いんだろうなぁ。
儚げというか、人形みたいで、存在に現実味がない。
だから役がハマれば、もの凄い、誰の追随も許さない魅力を発すると思うんだけど、
オールラウンダーではないだよね。
七之助は琴浦の方が合ってたと思う。

タカラヅカで例えるなら七之助は、朝海ひかるかな。
勘太郎は見た目が愛華みれで、芸風が香寿たつき・・・いや水夏希。
で、ちなみに、最近発見したんだけれど、
勘太郎と七之助の関係は、テルキタにも当てはまります。
この陰と陽の関係はニコイチには必要不可欠なんだなぁ。
ヤンミキしかり、タモマミしかり、オサアサしかり・・・


話の流れも前見たときより、そりゃ解りやすく見えてくるようになって、
そして今日、引っかかったのが、二幕冒頭の徳兵衛ですよ。

えっと、これが正しいと思うんで、あらすじ抜粋。

義平次殺しの真犯人が団七と知る徳兵衛は、お梶に惚れたように見せかけ
団七が離縁するように仕向けたのであった。
・・・・進んで憎まれ役となった徳兵衛は、三婦やお梶と因果を嘆きあい去っていく。


「見せかけ」たようにも見えなかったし、
だから「進んで憎まれ役となった」ようにも見えなかったんだよなぁ。

どこからどこまでが離縁させるために仕組んだお芝居で、
どこからどこまでが、素の徳兵衛だったんだろう。

例えば、障子越しに団七の方に心配そうな視線を送り、
それから、お梶に失礼する。みたいなw視線を送れば(だって盛大に胸触るしね)、
「ここからは芝居だよ」っていうのが、お梶にも、そして観客にも伝わると思う。
伝わっていれば、
あれだけ色っぽくお梶に迫るのも、んでまたお梶が女らしーい表情をしているのも、
観客へのサービス/見せ場だって思えるんだけどな。
思えなかったよ。

「あれ?本気でお梶の事、良いと思ってるの?徳兵衛は?え?」
と疑問が先走り、この疑問は徳兵衛の格好良さへの疑問に繋がってしまう。
徳兵衛が曖昧になる。

別に、本当にお梶にも気があった。
っていうなら、それはそれで男の色気があって良いと思う。
お辰への裏切りにもなる訳だからいい気はしないけど、
でも、義兄弟の契りを交わした中であっても、男女の仲はまた別だ。
みたいな、そういう色気の出し方もありでしょ。
人の女房を、ちょっと本気で口説いてみちゃったけど、振られる。
でも、去り状さえ書かせりゃ、やっぱり俺らは義兄弟の仲。
女も大事だが、男も裏切れねぇ。逃げろよ、団七。

っていう徳兵衛も、それはそれで格好良い女たらしだ。

イカした女ったらしバージョンにしたいなら、
幕前での芝居の時に、振られた男の哀愁を見せてよ。
チラっとお梶を見るとかさ。
それでいて、団七に対しても熱い想いを寄せてくれ。

でも、哀愁も感じられなかったし、
団七への想いは感じたけど、でもそれだけ。

自分が憎まれ役になってまで、団七を救う。っていうのが、
徳兵衛が最高に格好良く見える所なのに、
その前が、どういう気持ちで動いていたのかが見えてこないせいで、
最高の場面が最高に生きてこない。
「うわ、もったいなっ・・・」っていうのが、今日の印象。

徳兵衛が曖昧になってしまった分なのか、どうなのか、
前より格好良く見えたのが、やっぱり三婦さんですよね。
三婦さんの女房もさ、5年前は喧嘩ばかりで~なんて嘆いていたけど、
結局、喧嘩する威勢の良い三婦の事が大好きで。
その微笑ましさ。
そして妻に大好きだと思わせるのも納得な、
弥十郎さんのスケールの大きな威勢の良さ!

耳に数珠をかけている、っていうのもお洒落なんだけど、
あれが彼の戒めの象徴で、我慢ならないチンピラ相手に、
その戒めを解く、と同時に、着物を着替える三婦さんが素敵過ぎ。
素敵さを対比で際立たせる、チンピラ二人組みの小ささにも拍手。
あの二人、上手いよなぁ~・・・

あ、今日、立ち回りの場面、勘太郎の気合の入り方が半端なかった。
前も良い!って思ったけど、でも今日の入りようはその比じゃなくて。
全身全霊の気を込めて、父親とのクライマックスの立ち回り。
若さが迸る。
ここを見れただけでも今日見に行ってよかったと、心から思える。

大きな梯子を使った客席通路での立ち回りも、大迫力だし、
客席を縦横無尽に駆け回る団七は、世界中走り回っているよう。
そして、冒頭に戻る。
なぜ勘三郎さんの団七が、格好良く見えたのか?
答えがわかった気がする。

答えは、傾いていたから。

最高の二時間半だった。ありがとう。
番外編。
一幕の冒頭で、引ったくりをする義平次さんですが、
今日、お客さんの咄嗟の反応に阻止されてやんの。(笑)
通路をさりげなーく歩く義平次が、通路側のお客さんのバッグに手を掛け、
ダッシュ!!が、お客さん、素早く振り返って、走り去るバッグを掴みましたよ!?
義平次、逃げられなくて、たじたじ、うろうろ。
バッグを引っ張ったけど、お客さんに負けて、元通り。
客席は笑いで包まれ、案内人?の七之助は「今日はあんたの負けっ!」とかなんとかw

上からしっかりと眺めていたけれど、早かった~!!
ナイスアドリブでしたw
まっさか、掴み返すとは思ってもいなかったので、楽しかったです。
本能的にそりゃ、盗まれる。と思ったら、掴み返すものですわ。

義平次、残念だったねっ!!
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