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6/22 凍てついた明日

2008年06月24日
美しきクライド

2008年6月22日『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅-』@宝塚バウホール
11時、14時30分公演

作・演出・出演者→こちら(Bバージョン)

6月3日→1、2回目
6月14日、15日→3、4、5回目


始まりがあれば、終わりもある。
6月、計3回のバウ遠征もこれで終了。
同じく、『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅-』も終了。

そうだなぁ、15日の11時公演が自分としては一番入り込めたかもしれないな。
大好きなメンバーでの上演だけど、
作品として私に深く斬り込んできたか・・・というと、実はそうでもなかった。
というのが本音。
大好きな作品ではあるんだけどね。
でもこの「大好き」は、各生徒への想いとか、
遠征3回やってみた自分の馬鹿さ加減がもはや愛しかったりだとか、
そういう関連する思いを含めた「大好き」だから、
純粋に作品だけ見るとすると、やはり物足りなかったかもしれない。

何がこの作品に足りなかったんだろう。
まずパッと頭に浮かんでくるのが「余裕」とか、「余白」かな。
WSにこれを求めるのは、厳しいかもしれないけれど、
『凍てついた明日』にはこれを求めたかった。

見るほうとしても抜くところがなくて、非常に疲れる公演だったと思う。

そもそも、作品が持ってるモノ自体が疲れるんですよ。
この疲れは良い意味での疲れね。
『ミロワール』見るより、『凍てついた明日』見るほうが、どう考えても疲れる。
そういうこと。
これプラス、それぞれの生徒の必死さが、未熟ゆえに疲れる原因になってしまう。

いいんだよ、いいんだよ!
みんな必死なのは大歓迎なんだ!!
だからこそ、WSに意味があるんだから!!

と、そういう土壌があるタカラヅカを愛しく思いながらも、
でも疲れたのは本当の事だと言ってしまおう。
常に画面がガチャガチャしていたようにも思う。
メリハリがなかった。

ステップアップの一歩。
動だけで空間を埋めるのではなく、静で空間を埋める力。
この辺を身につけていって欲しい。

みんながハマコになれとは言わないですよ。
ハマコの3分・・・いや4分の1ぐらいの力を全員が持っていたら、
もっとバランスの良い公演になっただろう。
イブラヒムの4分の1でいいんだ、トマス。ぐらいな感じですよ。
もう、どこに原因があるのかわからないくらいチグハグした舞台だったんだよなー

テルのクライドは、独りでポツンとしてるでしょー
二人のボニーは、それぞれの個性でボニーを演じることに手一杯。
ボニーとクライドを近い立場から見て、追う、オヅキのテッド。
幼さが残るジェレミー。
常にエンジン全開、俺様オーラ全開を頑張るレイモンド、コマ。
全てを包括し、作品として無理矢理まとめあげていたのが、ハマコ。

メリハリがなかったことで、
クライドとボニーの孤独感、絶望感も目立たなくなってしまったのかな。
いや、良く見ているとわかるんだけど・・・良くみないとわからないとも言えるわけで。

テルは結構良い表情をそこかしこで見せていた。
ジェレミーとかの前では、ギャングである強い自分でいようとしていたけれど、
幻想?場面とか、バック(まぁこれも幻想か?)と会話をする場面だとかで見せる、
ふとした表情が、とても痛い。弱い。
助けを求めて彷徨っているのが良くわかる。
もっともっと早く、この子を抱きしめてくれる人がいたらな・・・

どこだったけかな~
無言で通り過ぎるテッドを見掛けて、
笑顔で駆け寄ろうとするけれど、テッドには気づいてもらえず、
テッドは遠ざかっていく・・・
みたいな、幻想シーンがあったんですよ。

ここ良かった。

クライドにとっても幼馴染のテッド。
あの表情を見る限りだと、割と近しい友人同士だったんじゃないのかな?
通り過ぎていくテッドを見つめるクライド。
彼と同じ道はもう歩けない。
自分だって、罪を犯したくて犯したわけじゃない。
だけどもう道がない。
哀しいんだ、あそこのクライドは。可哀想なんだ。

全身で悲しみを訴えた後、また彼は心を凍らせる。
母との会話や、ギャングとしての罪を重ねること。
お母さんの話を聞いている時とか、冷たくて、どこを見てるのかわからなかったもんな。
母親に責任を押し付けているような所もあったかもしれない。

クライドは姉のネルの前でも、少し幼さを見せる。
母との距離感よりも、ネルとの距離感の方が近い。
でもこの距離感も段々と変化していき、クライドとネルの間には大きな壁ができてしまう。
クライドが人を殺してしまった辺りからだろう。

それまでネルはクライドの肩に優しくそっと触れることができたんだ。
いつからか、それすらできなくなる。
いつもの様に弟に触れようとして、ためらうネル。
クライドがネルからも離れていってしまった瞬間。

ネルは一度、涙を堪えて上を向きながら上手に捌けて行く場面があるんだよなー
涙をこぼさない強さが、あれもう逆に切なくて、
毎回上を向いてはけるネルを見るたびグッときた。

ブーケの場面も好き。

現在はそうでなくても、
過去、自分にとって心休まる存在だった人に対してのクライドの態度っていうのは、
いつも優しかった。必ず優しい笑顔を見せていた。
ネルに対しても、優しかった、クライドは。
抱きしめられた時、悲しいけど、良い顔で笑うんだ。

クライドとテッド、二人の関係の濃さが上昇していたように感じた。
人を殺したクライドを銃を構えて追い詰めるテッド。
ここも良いよなぁ。
オヅキファンとしては、ここ、オヅキテッドの感情の揺れを読みます。

ここテッドはクライドにではなくて、自分自身に銃を向けてるように感じられてきて。
同じ時代を同じように過ごしてきて、
痛いほどクライドの気持ちがわかってしまうのがテッド。
わかり過ぎてしまうから、自分がそうなっていたかもしれないから、
甘ったれで、目立ちたがり屋だった頃のクライドを知っているから・・・
撃てないよね、ここで撃たなかった思いをずっと引きずったまま、
彼は立場上クライドを追い続ける。
逃がすわけにもいかず、でも自ら逮捕もできず。
この中途半端な立場がたまらないですよ、テッド。

オヅキの温度が上がったら、テルの温度も一緒に上昇してました。
一緒に上昇して、緊迫感ある場面を二人でちゃんと作り上げてました。
偉い、偉い。

クライドが置いていった銃を拾う、オヅキの背中が絶品です。
ってか、この作品、基本的にオヅキの背中に注目です。語ってます。

クライドとボニーって、同じ傷つき方をしている二人なんだよな。
だから運命が引き合わせたように一緒になるけど、
向き合っても、壊れている部分が同じだから、
傷が深くなるだけで、決して癒されはしなかったんだ。
ただ向き合うだけで、足を前に踏み出そうとしなかった二人が、
向き合うのをやめ、同じように前を見て、そして踏み出した一歩が、
あの農場へ続く道だったんだと思う。

傷も、痛みも、今まで犯した罪も、
自分の弱さを全て認めて、そして自分でそれを受け入れてあげた。
その時、そばに居たのがボニーだった、クライドだった。
二人じゃなくても良かったけれど、でも二人だった。
だからあんな笑顔で、一歩を踏み出せたんだよね。

解き放たれた二人が、真っ白に見える。

ジェレミーは二人と同じように傷ついてはいなかったからね。
傷ついていなかったせいで、傷ついてしまったのがジェレミーだけど、
きっと彼も二人の思いを理解する時が来るはずで、
その時はビリーが側にいてくれるだろう。

ってか、ラストシーン。
Aは「愛してる。」って言ってなかったよねぇ?ボニー。
でもBは「愛してる。」って言うんですよ、ボニー。
何、何、この違いをどう読み取れと!?
正直、ボニーについて・・・
もとい作品全体について初演の印象が、再演を何度見ても消えなくてですね、
すんなり再演の役が私に入ってきてないんですよね。

まなはるのジェレミーは、熱さが増してたなぁ。
「死にに行くことないじゃないか・・・!!!!」の悲痛さが増していた。
叫ぶのが上手くなっていた。
上手いっていうか、感情がより伝わってくるようになっていた。

人の気持ちの揺れ幅が大きいほど、
訴えてくる感情も強さを増す訳で・・・
まなはるの成長が嬉しかった。

成長っていえば、朝風君の歌も良くなってたと思う。
ブルースレクイエムに必要なのは、上手さじゃなくて、広がりだと思うんだけど、
その広がりを少し感じられるようになっていた。
歌の中に、気持ちを感じた。
ただ上手く歌っていたんじゃなく、作品の為の歌。
そういう風にちょっと変化していたと思う。
だから、涙腺もここでちょっと緩む。それまでは普通に聴いていられたのに。

ダイナーの店員だったりした、れのも可愛かったなぁ。
冒頭で、ボニーが店主に裏でキスされて出てくる場面。
こことか、実はれのも凄くボニーのこと心配しててね。
その心配してる感が可愛かったですよ。
あ、コイツ良い奴だな、と。

がおりは間違いなくロイで男っぷりを上げただろうな。
次、どう来るか楽しみな子。
研5かな?この学年で、破綻なくロイを演じられた力。
期待すべきものでしょー。
台詞がない役でも、演技力って出てしまうんだろうな。
がおりは演技できる子だろうってのを感じる。
あーロイ格好良かった~。

りーしゃ君とかもなかなか良かったと思うんだけどな。
オーディエンスでも、結構重要なところで上手の前に座っていたりしたし、
雑貨店の店主、妊娠三ヶ月の奥さんを持つ旦那さん、警官・・・
どれもそつなくこなしていた印象。

あ、そうだコマのレイモンド。
微量だけど前より、余裕が感じられた。
あの男役なのに、ありえない高音で歌わされる曲。
初めて見たとき「だ、大丈夫か、コマ・・・」と正直本当に不安だったんだけど、
回数を重ねるたびに安定して行き、千秋楽は安心して聞いていられた。
怒鳴りまわる中にも、良い意味での慣れというか、落ち着きが出てきていて、
ただうるさいだけのレイモンドから、変わってきていたと思う。

ここまででもだいぶ長いですが、まだまだ語りますよ。

オヅキのテッドですが、この人も途中から「大丈夫?」って感じでした。
クライドは襲撃された時に、
呆然と立ち尽くして(彼の足場がボロボロに崩れた瞬間だったからね)、
「大丈夫!?」と仲間達に声を掛けられていたけど、
私にはテッドもあんな感じに見えて。

中盤からは、ボニー&クライドの捜査にフランクが加わる。
テッドの思いに反しての「二人を殺しても構わない」という方針で進む捜査。
もうテッドは絶対にクライドを殺せないわけだから、見てるしかできないんですよ。
フランクがビリーすら追い詰めて、
ジェレミーにクライドたちの居場所を吐かせようとしている時とか、
彼、どうすることもできなくて、立ち尽くしてました。
襲撃の時も、その場面を見ていられなくて、どっかいっちゃうしさw

フランクに「お前は逮捕する気があるのか?」と責められて、ごもっともなんだけれど、
事実を受け止めることしかできないテッドって存在が、好きだった。
心を痛めながらも、幼馴染を追い詰める。
そこから生まれる感情の揺れを、
オヅキはしっかりと見せてくれていたので、それがまた嬉しかった。

好きになって間違いのない役者さんだっていうのを改めて感じて、
緒月遠麻と共に一度タカラヅカする覚悟がより強くなる。

あーもう終っちゃったんだなぁ。
本当に正直、何回見ても、
「初演の方が作品としては良かった」っていう思いは変わらなかった。
初演と再演は別物、と割り切ろうとしても、割り切れないですよ。
伝えようとしている感情の種類は同じで、
その伝わる度合いは初演の方が大きかったから、
私はどうしても「初演の方が・・・」と思ってしまう。

でも今回の『凍てついた明日』が好きだったのも本当。
テルはタータンより見た目が好みだしw
オヅキも出てるしw
何より全員の頑張りが伝わってきたし。

結局最後まで、どうやって見るのか、感じるのか、
自分の中で整理がつかないまま、楽を迎えてしまった感じか。

楽のテル、めちゃくちゃ可愛かったですよ。
不器用というか、もったいないというか、
自分をタカラヅカの中でアピールするのが下手な人?

最初から我慢しないで、素直に泣いちゃえばいいのに。
泣いちゃっても受け入れる準備を宝塚のお客さんはしているのに。
でも自らそれを拒否しようとした人。
でも、堪え切れなくて、帽子で顔を隠して、泣いちゃった人。

あぁ、もう!
すっごい愛おしい、凰稀かなめ!!


恥ずかしいから泣かない。と心に決めた、そんな普通の感覚を持っている。
私だって、あんな大勢の人前で泣き顔さらしたくないですよ。
ヅカファンとしては、『泣いていいよ?』って思うけれど、
イチ人間としては『そりゃ、恥ずかしいわ。嫌だわ。』とも思う。

最初の挨拶の時点で感極まって泣いちゃう子の方が、
必死さが伝わってきますよ、一生懸命に主役を務めてきたんだな、
ってのがわかりやすく伝わってきますよ。
好感度も高いかもしれない。

あえてそこを大人しく終らせてしまう凰稀かなめ。
もったいない、宝塚的にもったいない、でも「っぽく」て良い。

終始テルは、

この作品に、このメンバーで挑めた幸せ。
そして、今たくさんの愛を感じている、と。
出演者から、スタッフ、諸先生がた、そして毎日劇場に来てくださったお客様。
たくさんの愛を感じることができて、本当に幸せだ。

と言うようなことを話していた、割と淡々と。
話すことがなくなってくると、

14日に完売御礼出ました!いぇい!
この作品で東上したい。
もうここは皆様の力で!

とかなんとか言い始めw、まぁ微笑ましくテルのテンパりぶりを眺める。

3回目ぐらいでスタンディングオベーションになったけれど、
立ち上がる観客を見て、ここでやっと凰稀かなめが崩れる。

「もぉーなんでみんな立ってるんですかぁ~・・・
 泣かないって決めてたのにっ・・・」

そのまま、帽子で顔を隠して泣いてしまった。
この瞬間、もの凄い愛おしさがこみ上げてきちゃって。

「なんか退団するみたいでイヤだっ。」

駄々までこね始めたw
普通の女の人だな、普通の女の人だけど、あんな格好良くスーツ着こなして、
必死に見えないけど実は必死に舞台に立っていたんだ。
初めから泣かなかったこと、崩れた時に素に戻ったこと・・・
この辺が可愛くて仕方なくて、
この人がどう宝塚を全うするか、見届けたい。見守りたい。
そんな気持ちが込み上げてきた。あーもう宝塚ならではw

テルは泣きながらちっちゃい声で、「ありがとうございます」って呟いてたり、
そんな姿を見たハマコ大先生が、隣りのオヅキに向って、
「可愛いね~」的な感じで話しかけているご様子が見受けられたり、
京三沙さんが涙を拭っていたり・・・微笑ましい楽でした。

えー最後にこれで締めますかってところで締めさせていただきますが、
テルキタ万歳。
これに尽きる。(笑)
Comment
なつさんのレポを読んでて、テルキタ最高を更に実感してます。
また、かなめちゃんのご挨拶の様子が手に取るようにわかりました。
こっちまで「いとおしく」感じてます。ありがとうございます。感謝です。
★kaoriyaさん★
あぁ、もう本当にテルキタ最高ですよ!
なんでこんなに引き立てあうんですかね、この二人は。
互いにツンデレした感じが(笑)、たまらなく好きです。

凰稀かなめは、本当に愛おしかったですよ~。
素直な思いを言葉に乗せて伝えるのが下手というか、
無感動、無表情に見えがち・・・いや、正直そう見える(笑)けれど、
そう見えちゃうところが、凰稀かなめっぽいな、と。
だけど、ちゃんと気持ちがあるのも伝わってくるしで、
結局はそっけないところも含めて、愛おしいんですよねw
応援しますよー!凰稀かなめ。

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