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3/12 身毒丸

2008年03月13日
出会えた喜びを最大限味わえ

2008年3月12日『身毒丸』@彩の国さいたま芸術劇場

作:寺山修司/岸田理生
演出:蜷川幸雄
照明:吉井澄雄
出演:藤原竜也 白石加代子
    品川徹 蘭妖子 石井愃一 中曽根康太 渡部駿太 日野利彦 マメ山田
    飯田邦博 福田潔 桜山優 KAI  本山里夢 秋山拓也 羽子田洋子 山口詩史
    村中玲子 妻鹿有花 中島陽子 太田馨子 難波真奈美 星野園美


寺山修司って何者だ?
どういう生き方、育ち方をしたらあんな世界を創る人になる?

過去、私が見た寺山作品は『田園に死す』ぐらいかな。
あの時もその世界観に、なんともいえない感覚を覚えた。

蜷川さんは鏡のような人だから、
戯曲をそのまま反射させて、舞台にする。立体化させる。
ちょっとジメッとした空気の中の、色の鮮やかさ、怖さ・・・
戯曲が持っている見た目のイメージをそのまま感じることができたような気がする。

お面とか、マメ山田さんの存在とか、ゆっくーり走る自転車とか、
古ぼけた自動販売機とか、幌車とか、なんかそういうモノが怖い。
漂う懐かしさが、霧に紛れて、恐怖に変わる。

俳優・藤原竜也はこの世界で生まれた。
彼の原点はここで、原点がここにあるということが、もう彼の全てなのかもしれない。
白石加代子と共に現実を離れ、闇の世界に消えていく彼の後姿は、
今現在、彼が置かれている状況と重なる。
藤原竜也は、白石加代子と蜷川幸雄に愛されて、
愛され続けて現実に戻らない道を選んだ俳優なんだ。

きっと『身毒丸』の再演を重ねれば重ねるほど、
彼は現実に引き戻れなくなっていったことだろう。
だったら闇を突き進んで、孤独に耐えて、彼にしか表現できない世界を突き詰めて欲しい。
藤原竜也は間違いなく、それが出来る人だから。
もうこっちの世界に帰ってくることを望まないよ。
あっちの世界を極めれば良い。

常識とか、掟とか、そういったものを覆される。
寺山修司にとって、常識等の象徴は「家」だったのではないか。
父が居て、母が居て、息子が二人居て、仲睦ましい家族が生きる「家」。
世間の目に犯されて、普通であることにがんじがらめになっている。
登場人物でその「家」の象徴だったのが、品川さんの父だ。

そこから徐々に飛び出していく、身毒となでしこ。
母を求める男。
男を求める母。

母、男、母、男、母、男、母・・・
やがて二人は、お互いにお互いを求め合っていたことに気がつく。
世間一般の目で見れば、彼らは母と子、だ。
しかし二人には関係ない。

「家」から解き放たれた世界に、二人で堕ちて行ってしまった。

さようなら、もう一生会うことはない。
そこでなら永遠二人は結ばれたままでいられる。
求め合う強い想いが共鳴し合ったからこそ、二人は「家」を越えてしまったんだ。

そして闇の中に消えていく。
闇の反対には、妖しい現実の世界。
その世界に背を向けて、二人だけの世界へ向う。ただ求め合っているから。

デビューの時点で藤原竜也は、怪物・白石加代子と共に、闇の中に消えていった。
現実に有り得ないような感情表現を、初めの時点で叩き込まれてしまった彼は、
ある意味とても幸運で、ある意味とても不幸だ。

なんで、蜷川さんは藤原竜也をあそこまで追い詰めるんだろう。
深い愛情を感じるけれど、その愛情のおかげで藤原君は孤独だ。
孤高の存在。
輝きが鋭くって涙が出た。

最近、蜷川演出の照明が原田保さんではなくなった。
今回も違う人だ。
ライトを動かす演出が多い。新鮮でもあったので、良い印象。
音楽のリズムに合わせてライトが動くと、臨場感UP。
月と穴に当てる光の色が、ちょっとづつ変化していく様子なんかも綺麗だった。

真っ赤で読みづらいパンフレットが素敵だ。
毒々しくって身毒丸っぽい。読みづらくてなんぼ。

もう一度、今度は1階席で見る。
今日は本気の肩慣らし。
次見るときは真正面から、この世界と向き合ってみせる。
Comment
初めまして。
いつも、同じ年ながらとても鋭い見解をされるなつさんに刺激されております♪

私も今日観てきました~。
作品、演技、色々思う所はありましたが、ただただ、圧倒されました。

白石さん、やはり化け物です。こんな女優他にいません。
そして、藤原くんは…『蜷川・身毒丸』によって創られた俳優なのだな、と改めて感じました。彼自身パンフレットにて「蜷川さんの世界を徹底的に植えつけられてしまった、~叩き込まれてよかったと思っています」と語っているのを読み、なつさんが指摘されているように、闇の世界へとただ突っ走っていくしかない(出来ない)ことを、自覚しているのだろうな、と思いました。
蜷川さんは残酷だよなあ…。
はじめまして、時々拝見させて頂いて居ります。自分では足を運ばなくなって久しい宝塚の話や野田さんの作品の感想など読ませて頂くのが楽しみです。今回私も「身毒丸」を観たのですが なつさんとは随分と違う印象を受けたので・・・
ファイナルではこの世界に強引に引き摺り込まれて終わった感があったのですが今回観て思ったのは、「やっと藤原竜也の身毒を終えたんだな」っと、何か突き抜けた感も持ちました。復活はゼロの位置に立つ為、清々しくもありました。前回とは違ってエンターテイメントとしても作品の世界にどっぷり浸って堪能することが出来ましたし、彼の此れからあるだろう新しい作品も楽しみになりました。体調絶不調の日を含め二度の観劇で終えたのですが、なつさんは次もあるんですね。
是非楽しんできて下さいね。
★絢さん★
初めまして!コメントどうもです♪

白石さんは『コリオレイナス』の時も化け物だったし、
『ビューティ・クイーン・オブ・リナーン』でも化け物だったし、
今回も化け物だし、でもどこか絶対にチャーミングさがあって・・・
そこがまた凄いですよね。格好良い女優さんだっ。

蜷川さんと藤原君って、凡人にはわからない、
深い絆で結ばれてるような感じがしませんか!?
私も残酷だと思うけれど、でも二人の関係はもっともっと崇高なモノで。
で、結局、観客としても藤原竜也にあの演技を求めちゃいますからね。
「私たちも十分残酷だ~!」なんて昨日また思いました。
4月にもう一度見に行くので、その時はどう見えるか、楽しみです。

どうぞまた気軽にコメント残してやってくださいね~♪

★めもるさん★
はじめまして。コメントありがとうございます。

私がこう感じたのは、初めて見た『身毒丸』だったからなのかも・・・
めもるさんのコメントを読んで思いました。
藤原君が身毒を演じてきた過程を見ていないので、まっさらな状態での観劇でした。
ファイナルの映像ぐらいだったら見れたかもしれませんが、
それもあえて見ずに、実際に見た印象で勝負しよう!みたいなw
その結果がこの感想です。

私も次を見に行ったら何を思うかわかりませんが、
見る側でも、それぞれの解釈が持てて、やっぱり演劇面白いですね!
ファイナルは6年前ぐらいですよね?
6年も前だったら、藤原君にはまだ幼さがあったんでしょうか。
今回は役作りとしての若若しさはあったけれど、滲み出てくるものは大人の男。
その辺のアンバランスさにも注目して、2回目も楽しんで見てこようと思います!

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