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1/22 キル

2008年01月23日
kiru

2008年1月22日『キル』@Bunkamuraシアターコクーン

作・演出:野田秀樹
出演:妻夫木聡/広末涼子/勝村政信/高田聖子/山田まりや/村岡希美
    市川しんぺー/中山祐一朗/小林勝也/高橋惠子/野田秀樹

12月7日→1回目
12月14日→2回目
1月9日→3回目
 

つくづく私も懲りない女だ。
「もう立ち見じゃ観ない!」発言をつい先日したかと思いきや、また観てきたのです。

観て良かったと思う。

三分の一見切れた、モンゴルの青い空は十分に堪能できた。
三分の一見切れてるけど、空は見えた。

というか、私のいる場所が、テムジンたちの空だったんだ
そのことに今日は感動した。

一応「もう立ち見じゃ観ない!」を実行するべく、
当日券のキャンセル待ちをしてみました。
開演直前にキャンセルが出た場合のみ席が買えるっていう。
今日は1枚しかキャンセルが出ず、結局私は座席ゲットならず。
まぁ、相当並ぶのも遅かったから、しょうがない。
ある意味、キルとの運試し

S席が取れなかったら、家に帰ろうかと思っていたけれど、
今日、大学の友達がコクーンシートで観劇予定で。
直前まで一緒にスタバでお茶してて、
そのままコクーン向って、彼女は『キル』を観て、
私はS席取れなかったから、『キル』を観ず、ただ家に帰るっていうのが、なんとも寂しくてw

コクーンまで来てるんだから、やっぱ観るでしょ!!

ってことで、ノリで2階の立ち見を購入。
中2階は売り切れだったけど、2階はガラガラで、隣りに誰も人がいない状態。
見切れまくる視界と引き換えに、
悠々自適の空間を安価で手に入れられたので、結果オーライ。
L側のコクーンシートだった友達とも偶然近くになれたし。

本当に今日は『キル』を観る予定なんて毛頭なかった。
バイトが終って、そのまま大学に移動。
授業受けようかと思ったら、補講期間中で授業はない。(バカ)
だったら、図書館寄って清水邦夫の『わが魂は輝く水なり』があったら借りて、
それで家に帰ろ~、と思っていたら、友達からメール。

渋谷のハンズに行って、それからキルを観るとのこと。
まだ時間があるからと、私も渋谷に呼ばれる。

『わが魂は輝く水なり』も図書館になかったし、暇だし、
友達と喋りたかったし、渋谷に向う。
で、渋谷にいるなら見とかなくちゃ損だよね?
みたいな気持ちになってしまったと言うわけです。

広末シルクにやられました。
特に後半、「刺してごらん!!!!」あたりの、
切実さ、悲痛さ、憎しみが数倍にも膨れ上がっていたように感じました。
シルクが大きな痛みを持って、テムジンに怒りをぶつける。
シルクの怒りもわかるけれど、そのシルクの怒りを受ける、テムジンも辛い。

テムジンは、どんどん孤独になっていくんだもん。

生まれてからずっと憧れていた父親(蒼き狼)には愛情を注いでもらえず、
そのせいで、トワ(母・永遠)の愛も知ることができなかった。
やっとシルクという愛する女性に出会えたものの、
その彼女にも、ある意味裏切られてしまう。
生まれた子供は自分の子供ではない。だから愛することができない。
子供を愛さない父親への周りの目は、どんどん冷たくなるばかり。
愛されないことで生まれる憎しみを、全て征服(制服)にぶつけて、人をキル。
彼の命には愛がない。

とにかく、そんなテムジンを見ているのが悲しいんだ。
寂しくて、悲しいから、最後、生まれ変わることができたとき、
心から嬉しいと思える。暖かいものに包まれて、眠るテムジンの姿にホッとする。
あれは、羊の水なんだよね?

一幕の終わり。
バンリの子を孕んだシルクと、それを知らずにシルクを奪い返しに来たテムジン。

ここの場面の、シルクの伸ばした手が切ない。
シルクの手に見向きもしないテムジンが切ない。
愛した男が自分を助けに来てくれた喜びで、伸ばした手。
その手を、一瞬で見限ったテムジンの険しい表情。
その後のシルクの手のやり場のなさ・・・
ここが復讐の連鎖の一つの区切りで、新たな始まりなんだ。

生まれて、生きて、死ぬことが、全て、繰り返されるだっていうのが、
舞台に集約されている感じがする。

ラスト、結髪がこれから生まれてくる子に対して、
「あぁ、俺の子だ」と肯定する場面で、涙腺崩壊。
だって、この言葉を聞いた時のテムジンが、とっても嬉しそうだから。

何度も何度も鉛の悪夢の中に居て、やっと朝を迎えることができたんだよね。

その朝の清らかさ、青さに心打たれる。

私の好奇心をくすぐってやまないのが、朝・麻とかの言葉遊びだよなぁ。
お床の中の男とか。
西の羊、とか。
キルって、タイトルからしてあれだし、
「そうユウキもないのだわ!」とか・・・
挙げたらキリがないぐらいの言葉遊びが、物語を広く広くしてくれる。
意味がないものもあるし、意味がないと思ったら、
その言葉が世界を広げていく場合もある。

日本語の面白さや、美しさを教えてくれて、
尚且つ、それで物語を壮大にしていく、っていうのがすげぇのさ。
格好良いのさ。見ていて快感なのさ。

そんな快感を味あわせてくれる野田秀樹さんも、今日は演技が良かった。
「シルク!お前への思いにはロウがつかない!」あたりの迫力が抜群。
この人の緩急自在な台詞回しは、ちょっとずるいと思うw
ロウになって溶けそうになる場面。
初演の映像では、もっと滑らかに怖ろしい動きをしているんだけど、
滑らかさは初演のが勝るにしろ、それでも怖ろしい動きを毎回見せてくれる。
体柔らかいし、筋肉もないと、あの動きはできないよ。

「私のいる場所が、テムジンたちの空だったんだ。」
と始めに書いたけれど、2階に居たから、そう感じられたんだ。
彼らが見上げる先にあるのは、空。
あーここに広がる青さを見ているんだ・・・っていうのが、2階から凄く良くわかって、
見上げる空間に青さを感じることができた。

そのことに、今日は感動。
やっぱり『キル』が好き。
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