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12/7 キル

2007年12月08日
kiru

2007年12月7日『キル』@Bunkamuraシアターコクーン

作・演出:野田秀樹
出演:妻夫木聡/広末涼子/勝村政信/高田聖子/山田まりや/村岡希美
    市川しんぺー/中山祐一朗/小林勝也/高橋惠子/野田秀樹


キル、キル、キルキルだ!
キルがキルで、本当にキルだったよぉー。(涙)


あぁ「キ」が「≠」に見えてきた。

憧れ続けた舞台『キル』。
その世界を、今さっき、私は実際にこの目で見て、この身体で感じだ。
それだけで、もう・・・嬉しい。幸せ。涙出る。

野田さんの舞台を見に行く。
劇場についてパンフレットを買う。
客席に座り、パンフレットを開き、前書きを読む。
その時間がまず好き。まず楽しみ。
どんな思いで、これから始まる芝居で上演することにしたのかを、
(たいてい)皮肉と反発がいっぱい詰まった文章で、野田さん自身が書き綴る。
ちなみに、皮肉と反発の間から垣間見れるのが、演劇に対する愛着と、誇り。
だから野田さんのパンフレットの前書きが、好き。
彼の綴る言葉が好き。
その言葉を綴った手をたぐった先に老いさらばえるには程遠い、
未だにやたら動き回る、老け子役がいたとしても、私はその老け子役を好きになる。
言葉に恋をするシルクの気持ちが、わからなくもない。(笑)

復讐の連鎖を止める、その答えはここにある。

だから、今、また『キル』なんだね。

『贋作・罪と罰』→『ロープ』→『THE BEE』
ここ数年の流れの、終着点が『キル』だ。

どうすればいいのか。
答えは簡単だった。

空を見上げれば良かった。

ただそれだけ。
でも世界中の人間が誰一人欠けることなく、空を見上げなければいけない。

このロマンチストめ。

まっさらな状態で、初演を見たかった。
今回の再々演の出来が悪いとか、そういう意味では決してなく、
私自身がまっさらな状態でこの芝居を見れていたら・・・
と思わずにはいられなかった。

何度も、何度も台詞を覚えるぐらい見返した。
まではいかないけれど、昔は良く、つっつんの声で野田さんの言葉が聞きたいあまりに、
BGM代わりにキルをテレビで流していたし、もちろん戯曲も読んでいた。
だから、当たり前だけれど、これは知っている物語。

ストーリーはもちろんだし、
「あ、次、ムクって犬?来るぞ」とか、笑いの部分も先を知った状態。

演出面での大きな変化がないのは、『キル』においては正しいことだと思ったけれど、
変化がないから尚更、知っている物語。
物語や、演出がどう進んでいくのかに対するワクワク感はゼロ。
だから、

まっさらな状態で、キルを見たかった。
つっつんファンだから、そんなことは無理だったけどねw

シアターガイドのインタビューを読んでから、
変に私の中で凝り固まっていた、テムジンへの思いは消えた。
堤さんのテムジンは、堤さんのテムジンとして好き。
だけど妻夫木君のテムジンも、妻夫木君のテムジンとして受け入れられるだろう。
インタビューを読んだおかげで、自分の気持ちを、まずそこに置くことができた。

そして、今日見た妻夫木テムジン。

素晴らしかったよ。

もうそこに彼にしかできないテムジンがいた。
正直ここまでやってのけるとは思っていなかった。
弱い点をあげるとすれば、声。
声量がもっと増せば、これからでも良い舞台俳優になりそうだ。
っていうか、既に良い舞台俳優ではある。
だって、楽しそうだもん。
舞台に立っていることを楽しんでるもん。

これは聞いていて度々驚いたんだけど、たまにめちゃくちゃ声が堤さんに似る。
本当に驚くほど、堤さんのテムジンと声がかぶる瞬間がある。
だからって、堤さんのテムジンを真似ているわけではないんだけど。

生き生きと身体が動いているのにもビックリしたなぁ。
もの凄く感覚が良い人
人との距離感とか、反応の取り方とか、常日頃からキチンとしてる人なんじゃないかな?
じゃなかったら、初舞台で、しかもそれが野田地図で、
あそこまで生き生きと動くことなんてできないと思う。

テムジンが勝村さん演じる結髪の頭を、何度かはたく場面があった。
はたいた瞬間に、
「あ、すっごい良いカンパニーじゃん。」って思った。
迷いのない、見事なはたきっぷり。
勝村さんにしても、見事なはたかれっぷり。
あれだけ完璧にはたき、はたかれ・・・w
それを見ただけでも勝村さんと妻夫木君の間に信頼関係が成り立ってるのがわかる。

手紙のやり取りの場面では、
「早く読んでぇぇ~!!!!」と言わんばかりに、
勝村さんに妻夫木君が抱きついてたし。
抱っこちゃんか。
ここの妻夫木君は、超可愛かった。

えっと、先に私が気づいた?お遊び部分の台詞を挙げときましょうか。
「四角いジャングル、流血の惨事、亀田興毅謝罪」だったでしょ。
すぐにやらせる女は「サポーターの女」→「小劇場出身の女優」に。

・・・いるんだよな、このカンパニーにも正に小劇場出身のすんばらしい女優さんが。

「すぐにやらせる女は小劇場出身の女優だけです。」
「おいっ!!」

下からわざわざ顔出して、ツッコミ入れておりました。聖子姉さん。
客席爆笑ですよw

あと初日ならでは?なハプニングとしては、野田さんがジャケット羽織ってくるの忘れてた。
もうホント冒頭ですね。
「じ・ゆ・う!!」をチョークで書くちょっと前。

「・・・(笑)あのすみません、ジャケット着てくるの忘れたんで、ちょっと着てきますw」
とか何とか言って、一瞬袖にお捌けになりましたよ。
「ちょうど、緊張もほぐれて、良かったんじゃないの?」とか言っちゃってねw

すぐ自由をコクーンの柱に書く殴らなくちゃいけなかったのに、
ジャケットのポケットの中にチョークがない。
笑って焦る野田さんを眺めていたら、横からシルク広末が、
「せんせ、ちょーく??」とチョークを差し出す。

ナイス!シルク!

チョークを受け取った野田さん、勢い余ってチョークを折る。
折れた破片を「何、笑ってんだよ!」と、客席に向って投げつける。

うわーまさに『キル』だぁぁぁ~~(笑)

毎回折れたチョークは投げてたのかなぁ?
初演の映像でも、「どこ見てんだよ!?」とか言って、客席にチョーク投げつけてた気がする。

衣装は再演に近いかな。
細かい変化は挙げたらキリがないくらいありそうだけれど、
雰囲気の違いはほぼないと言っていいだろう。

演出の違いは私にはそこまで言及できない。
だって、実際に舞台で初演も、再演も見ていないから。
メインの音楽の変更がなかったのは確か。
変わらないとは思ってたけど、良かった~ホント変わらなくって。
あの曲じゃなかったら、キルじゃないもん。

テムジンがモンゴルの青い空を見上げれば、ただそれで良いことに気がついた時、
私の中にも同じように青い空が広がっていくような気がする。
壮大で、清いものの中に、気持ちが解き放たれる。
テムジンが青い空に気がついたことで、復讐の連鎖は終わり、
そしてまたテムジンは生まれ変わる。
新しく生まれたテムジンは、父親に愛される。
そして、とびっきりの蒼空を着て、生きる。

世界がぱぁーっと広がっていく。
演劇って面白くって仕方がない。
野田さんの芝居は、それを感じさせてくれる。

私は別に、絵空事の些細な現実を見せる芝居も嫌いじゃないけど、
演劇ならではの魅力をより感じるのは、もちろん、
まことしやかな壮大な嘘を見せる芝居だよ。
だから野田秀樹、好きなんだもん。
野田さんは演劇でしかできないことを、やってくれるから。

さてもう一度、妻夫木聡に戻るけれど、冒頭の台詞は、
「おっと、これで大丈夫か?」って思うぐらい緊張していたと思う。
稽古ではもっと上手く読めていたのに、力を出せていない。
そんな感じのする緊張感が、彼の言葉の中にあった。
もっと、情緒を持たせて読んで欲しい台詞なのに、余韻が残らない。
と、始めは心配させたものの、芝居が進めば、不安は消え去った。
たぶん、動いてた方が喋りやすいんだろうな。

どの場面でも表情がとても良いけれど、ラストは絶品。

広末さん。
広末さんは、野田さんの言うとおり面白い声をしている。
羽野シルクも、深津シルクも割と面白い声していたけれど、また違った面白い声。
おバカ度を比べてみると、羽野>広末>深津って感じかな。
おバカ度っていうと、羽野さんゴメン、って感じだけどw、
シルクって脳みそ軽い人じゃないですか。軽いけど、生きてく面ではすごく強い。
<軽さ・強さ>が羽野>広末>深津、みたいな。
広末さんも声が弱いけど、全体的にシルクとしては全然OK。

ってことで、真ん中の二人が、私の予想を遥かに超えて良かった。

逆にちょっと、ちょっと!だったのが勝村さん。
『コリオレイナス』やら『ドラクル』と続いた反動で、爆発したくなったw?
それはそれでいいんだけど、さすがにしつこ過ぎ。
野田さんも、信頼して許し過ぎじゃないか?
稽古中、勝村さんのハリキリが面白くって仕方なかったから、
そのノリで、OKしちゃったじゃないだろうか。
手紙のやり取りの場面、あれはもう暑苦しいの域だ。
いっけいさんのが、一番スピード感があって、私は好き。
勝村さんはスローモーションで二人の間を移動するので、空気がだれる。
改善希望。

「い・た・だ・い・た・あなたの手紙への私の・お返事!!」
「イマジネーションを働かせてっ!」「あなたならできる!」

堤さんと、いっけいさんのこのやり取りが大好き~

勝村さんは、足し算し過ぎな印象なので、これからは引いていただければ
勝村政信ならではの結髪がすぐに出来上がると思う。
そして、勝村さんならやってくれると思う。

小林さんにも期待していたんだけど、小林さん元気ない?
なんかこう、台詞もどこか上の空な時があったような気がして・・・
もっと威厳が出るかな、と思ってたんだけど、しょぼんとしぼんでしまった感じ。
体調不良??
これから先どうなるのか、小林さんも気になるところ。

高橋惠子さんは、また彼女ならではのトワが誕生しそうですねー。
お客さんとの呼吸が合うようになってきたら、もっとハマるはず。

聖子さんの人形も、なんの問題もなし。
ますます欠かせない女優さんになっていきますね。
笑いも取れるし、シリアスもいけるし。
でもまだまだ伸びしろありそだな。
余裕が出てくれば、まだまだ聖子さんの人形は良くなるはず。

山田まりあのフリフリが、やっぱり良くって!
村岡J.J.と、中山ポロロンに全く負けないどころか、
身体も動くし、衣装もロリ系で似合ってるしで、ちょっと勝てそうな勢いすらある。
フリフリって役にまた合ってるし、テムジン一派として登場するときの台詞も、
力強くって、なかなか良い。
山田まりあ、面白い女優さんだ。

村岡J.J.もまた、のびしろがありそう。
中山君もだけど、中山・村岡・山田の3人でもっと突っ走った空気を出せるようになると、
芝居自体も更に面白くなると思う。

市川しんぺーは、普通に上手いよね。
『ドラクル』見ても思ったけど、意外に器用な演技をする。
なんの違和感もなく、ガイドで、ヒツジ・デ・カルダンだった。

野田さんは、もう勝手にして。
って感じですね。本当に勝手にすればいいさ。(笑)

『キル』の初日の観客になれたことが嬉しい。
好きな舞台は、できれば初日を見て、間数回見て、千秋楽を見たい。
上演している期間中、ずっと一緒に考えたりして、成長していきたいんだよな。
舞台の変化と自分自身の変化。
その両方が合わさって起こる変化。
感情の揺れとか、新たな発見とか、ちょっとしたハプニングとか、
色んなことを楽しみつつ、初日から、楽まで大切に付き合っていきたい。

『キル』も私にとって、そんな舞台になりそうです。
Comment
なっちゃんおかえり~♪
朝一で起きて、パソコンに電源入れて、なっちゃんのレポ読んじゃった。
「我慢しよう」という気も少しはあったけれど、完ぺき「早くなっちゃんの率直な感想が聞きたい!」が勝ってたのよね。

読まさせてもらって・・・
わたしの頭で思い描いている世界がそのまま綴られていたので、メチャクチャ嬉しくなったよ。
あぁぁぁぁ、わたしも早く蒼い空が観たい。
ゲネの映像のラストシーンをちょっと観ただけでも泣けてきたぐらいだから・・・

ホントね、なっちゃんにダビしてもらってよかったよ。ちょっと、というか、かなり衝撃的だったから。
本当は何度もラストシーンをDVDでリピしたいんだけど、グッと我慢しています。

生の空間であの世界を味わいたい!

とりあえず初日レポ、ありがと!
これからも楽しみにしていまーす。


あ、ちなみにわたしも手紙のやり取りのシーン、堤さんといっけいさんのあのやり取りが大好きです。

今日観てきました!最後、涙が勝手に流れて止まらなかったです…。素晴らしい舞台でした。私も妻夫木テムジンの第一声には心配しました。大丈夫って?でも全然心配いらなかったですね。カテコで何事もなかったかのように満面の笑みででてきたのを見て、この人すごいなぁなんて思っちゃいました(笑)ほんと見れて幸せです♪
ブログでのコメントは初となります lunaです。
やっと参加できる演目が始まりました。よろしくお願いいたします。

先日マスコミ取材のゲネがTVで流れ、ちょとシンパイしていたのですが、
なつさんの初日感想を読み来週の観劇に希望が見出せました。

ちなみに座席は どのへんでしたか?お教え下さい。
★なっつんさん★
ただいまで~す♪
自分でも意外だったんですけど私も、
ゲネの映像をワイドショーで20秒ぐらい見て、つーっと、泣いてました。

リピるのを我慢するのは、正しいかも!
生と映像の差はもちろんあるけれど、なるべく新鮮な状態で見たほうが、きっと楽しめます!
少なくとも私は、そうしたかったです。

見ていて今自分が、どこにいるのかわからなくなるんですよ。
劇場に居るってことを、忘れる確かな一瞬が、糸さえ惜しいです。
モンゴルの蒼い空なんて実際見たことねぇけど、確かにそこに見えるんです。

★ののさん★
私もです。
なんかわかんないけど、あのラストに全てが詰まっていて、
詰まっているんだけど、パーッと広がってもいて、
ダーッ泣けますよね。私も涙止まりませんでした。

初日のカテコでは広末さんが感極まって泣いちゃって、それを
「何泣いてんだよ~」的な感じで、からかってましたよ、ぶっきー。
あぁもう、めちゃくちゃ良いカンパニーですよね、今回の『キル』。
通うぞ~!!(笑)

★lunaさん★
お待ちしておりましたwいらっしゃいませ!
まずは座席ですね、えっと、O列17番でした。
ちょっと後ろめですが通路際で、全体が見渡せる、なかなかの席でしたよー。
(ちなみに今回、最前はXAみたいです。)

堤ファンな私ですが、個人的には自信を持ってオススメできる『キル』だったと思ってます。
lunaさんの感想も楽しみにしてます!

まぁ、多少声の心配はあるけれど、
テムジンとしての気持ちの持ちようとかそういう面での心配は、感じなくなりました。

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