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6/27 THE BEE 日本バージョン

2007年06月28日
bee

6月27日『THE BEE』日本バージョン@シアタートラム

[原案・原作]筒井康隆
[劇作・脚本・演出・出演]野田秀樹
[劇作・脚本]コリン・ティーバン
[出演]秋山菜津子/近藤良平/浅野和之

思っていたより痛い舞台ではなかった。
痛みや、グロテスクさを期待していた部分もあったので、
印象としては、意外とあっさりだったね。と言った感じ。

近藤良平、浅野和之

もの凄い身体の自由が利く人が揃っているにも関わらず、
「身体」の見せ場がほとんどない。
浅野さんなんて、全身見せるのが冒頭20分ぐらいだけで、
あとは上半身、特に顔だけでの出演だよ。
うう、もったいない。せっかくの浅野和之が。
あの役が浅野さんであることは、間違いないし、良いことだと思うけれど、
もっと浅野和之の良さを生かせる演出にならなかったのか。

同じことが近藤良平にも言える。
彼の身体能力の高さが生きていたのって、脱走シーンだけじゃない?
他なにかあったかな?
あぁ、これももったいな。
もったいないお化けが出る。

近藤さんの演技ってどうなんだろう。
と、そこを楽しみにしていたんだけど、
演技が上手いのか下手なのかすら判断できない役として、舞台に立っている時間が長い。
ただ思ったのは、これが特に野田演出だからかもしれないけれど、
まずは身体が動けば・・・身体で表現できれば、やっていけるんだな、ってこと。
台詞全く聞き取れない場面とかもあったけど
(意図的なのか、そうじゃないのかは??)、
それでもこの芝居の中にはスッと近藤さんは馴染んでた。
身体使える人は強いんだなぁ。
ただ、だからこそ、もったいないお化けが出る。

秋山姉さんは、秋山姉さんの魅力全開。
最前列で見てたら、目のやり場に困るだろ。ね、姉さん太ももがっ。
めちゃくちゃ色っぽいよー。しかもはすっぱな女だよ。
素は割りと上品そうなのに、とことん下品な女にもなれる所が素晴らしい。
今回はバリバリに下品な女です。
前半のリポーター役の姿も良し。
グレーのパンツスーツに上は白いシャツだけ。プラス眼鏡。
見た目からして、妙にツボだ。カッコ綺麗過ぎなんだけど。
姉さんの生々しいのにドライな存在感ってのは、特別だ。
目だろうなー、基本的に目が冷たいんだもん、秋山さん。
その基本的に冷たい目が大好きなんだけどね。
期待していた通りの秋山菜津子を見ることができました。

そして野田秀樹。
この人50過ぎたんだっけ?ウソだろ?
めちゃくちゃ動いてる印象が強かった。
動きの印象も強いけれど、台詞の印象も同じぐらい強い
野田さんの台詞回しって独特だけど、これ好きなんだな、私。
特に小声で囁くように言葉を言う時が好きだ。
自然に「この台詞は聞かなければ」と思えて、集中できるんだよね。
癖はとても強いけど、一人の役者として上手い人だというのを改めて実感。

舞台美術といえるようなものは、木の机ぐらい。
大きな紙が舞台を覆っている。
紙が舞台にあった時点で、間違いなく破くな。というのはわかるし、
野田さん紙好きなのかな~。
破ると、なんにでもなるしねー。
大きな紙をスクリーン替わりに映像を映したりなんかもしていた。
破いて封筒として使ったり、切れ目を入れて窓として使ったり用途は様々。
こういうのは見ていて面白い。

出演者は4人。
だけど、この芝居の登場人物はもっと多い。
よって1人の役者が何人もの役を演じることになる。
リポーターが刑事になったり、刑事がリポーターになったりする訳で、
この演じ分けは、テンポが増すという点でも面白いし、
話の深みが増すという点でも面白いと思う。

でも別に一人が複数の役をこなす。という演出は、
私としては、笑うポイントではなかった。

ダンボールっぽい紙で出来た円柱に黄色のキャップを被せて、
それを子供に見立てる、なんて場面もあったし、
近藤さん演じる小古呂が、キャップを被っただけで、
さっきまでダンボール円柱だった子供自身になってしまうこともあった。

見立てる。とか、いきなり変わるとか。
演劇的に面白い場面であるのは確かだけど、
笑う必要ってあるの?ここ。
笑うようなことではなく、普通のことでないかい?
笑うために劇場に来ている訳ではないし、
この舞台においては、そんなに笑いって必要ない気もする。

途中、これが小古呂がやっていることなのか、
井戸がやっていることなのかがわからなくなる時があった

両方、お互いの妻と子を人質に取った犯罪者。
自分の妻と子を守ると言う名義の元、相手の妻と子に危害を加える。
実際に舞台の上で、危害を加えていたのは野田秀樹演じる井戸だ。
舞台の上に小古呂の姿はない。
でも、きっと、全く同じことを別の場所で、小古呂もやっていたのだろう。
振るった暴力が自分にそのまま返ってくる。
とどまる事を忘れた、制御の利かない暴力の連鎖。

顔を洗う、ヒゲを剃る、スーツを着る、朝食を食べる、切られた息子の指が届く、人質の息子の指を切る、指を封筒に入れる、相手に指を贈る、人質の妻と寝る、顔を洗う、ヒゲを剃る、スーツを着る・・・

と、暴力の感覚をなくしていくループするラスト。
言葉は一つも出てこない。
ただただ日常の一つの出来事として、指を切って贈ることがある。
そのうち指を切られた息子が死に、妻も死に、最後には自分の小指までを切ろうとする・・・

舞台にいるのは、井戸と小古呂の妻と息子だけ。
でも、同じことが小古呂と井戸の妻の息子の身にも起きている。
それが見ているだけでわかる。

色々なことが見えてくる象徴的なラストだとは思ったけれど、
でも、なんだか冷静に見ていられた。
止まらない暴力の連鎖に衝撃を受けるとか、そういう風にはならなくて、
『ものすっごい見せ方が上手いな』という気持ちの方が強かった気がする。
なんでこう思うかは、もうちょっと突き詰めたいところではあるかも。

井戸は蜂を異常な程に怖がる。
ロンドンで上演された時から、ちびちびとロンドン公演の噂を聞きつつ、
この「蜂」という存在に込められたものはなんなのか、と考えていたけれど、
私は「蜂」を突然の痛み、暴力と受け取る。
予測ができない、不意に訪れる痛み。
井戸は結局その暴力に誰よりも怯える人間だったにも関わらず、
自らも暴力をふるう蜂にもなる。

そうだ、開演前の音楽がコクーンのメルスチックな懐メロで、
(と言っても、正直私には懐かしくもなんともないんだけど、でも懐メロと呼ばせてもらう)
メルスを見たときのワクワク感を思い出して、ワクワクした。
今回、音楽の使い方、好きだなぁ。
酷い時こそ能天気な音楽とか、
音で対比があると、酷さがグッっと増す気がする。

最初に思っていたより痛くなかったとは書いたものの、
それこそ不意に思い出して、考えてしまいそうな内容かもなぁ。
でも、そこが野田地図見る最大の目的かもしれないので、
えっと、ロンドンバージョン終るまで、そして終ってからも、
あーでもない、こーでもないと考えていたいと思います。



と、言うことでTHE BEE日本バージョン1回目の感想でした。
Comment
ソワレですか!?
私も27日に見てきました!
私は野田さんの舞台は初だったので、
「なんだこの人!!」と衝撃を受けました。
はまりそうな予感です(笑)

蜂って相手を刺すことで自分も死んでしまうことがあるらしいので、
そのへんも関係あるのかな~なんてちょっと思いました。

私はなつさんのように詳しくはないのですが、
観劇後色々考えてしまう舞台でした。
★しほさん★
私もしほさんの日記読んで、うぉっ!?かぶってる!?と思ってました。(笑)
個性的な髪形の方…もしかしてケラさんのような髪形の人では?一際髪形が目立っていたので、印象に残ってます。

野田さんを初めて見たとき、『な、なんだコイツ?』と私も衝撃受けました~。それからはまさに病み付き状態で今に至ります。詳しいか詳しくないかなんて、全く関係ないですよ~。観て何を感じられるかだけですから!色んな感覚全開にして色んな舞台楽しめたらなぁーと思っとります。
そうです!ケラさんみたいな髪型の人です(笑)
私は彼の隣の席に座っておりました。

自分の感覚を全開にすると、必ずそれに何かがひっかかってくる舞台ってやっぱり「生」の醍醐味だなって思います。
にしても、私となつさんのように微妙な知り合いが(笑)、同じ空間を共有して、色んなことを感じているってのはなんかすごいことですね。

ってよくわかんないことを語っちゃいましたが、これからも観劇レポ楽しみにしてます☆
やっぱり!
★しほさん★
やっぱりあのケラさんチックな方でしたかぁー(笑)
その不思議な感じよーーーくわかります。
ブログのコメント等で、
「私もその回見てました!」
とか言っていただくと、
「あの劇場の中に、このブログを読んでくれてる人がいたのかっ!!」
と、嬉しいような、恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちになります。
で、今回もなりました。(笑)

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