7/5 草枕 千秋楽

2015年07月24日
草枕を実はまだ昇華させていなかったのです。
書くのです。

千秋楽。
すごく、暖かくて、官能的かつ可愛い場面があったので、その場面のことを。
官能的なのに可愛いかったんですよ。
これまで感じたことのない肌触りの空気感で、それを段田安則と小泉今日子の演技で味わえたことが幸せだった。

あ、惜しんでる。

と、二人のお芝居を見ていてふと思った。

今日でこのやり取りが終わってしまうのが寂しい。
でもいつも凄く素敵だった。楽しかった。魅力的だった。
だから、あなたのことが好きだ。

そう台詞の裏で、お互いに言い合っているように見えて、聴こえた。

小説を読む画工に無邪気に駆け寄り、漱石の真似をし始める那美。
英語の小説を日本語に訳し、読み聞かせる画工。
「この一夜をと、女がいう。一夜と男が訊く。一夜とはつれないこと、幾夜を重ねてこそという。」
そう訳す画工の顔のすぐ隣には、ちょこんと那美の顔がある。
時折視線だけが交わる。
相手の奥底の感情まで受け入れたような微笑。
そのときの通じ合った感覚といったら…言葉だけで、あそぶ二人。

千秋楽の最後の魔法が、ものすごく良い方向で働いたのを一緒に体感できた気がした。
ふわっと空気が変わって、「さみしいね」「うん、私もさみしいよ」って言いながら段田さんと小泉さんから駆け引きを楽しむ、大人の色気が香る。
濃くなく軽く、ふわっと。

また北村想の言葉だったから香ってきた色気だったのだろうとも。
どことなく軽やかで、茶目っ気があるというか、北村さんの草枕はそういう戯曲でもあると感じたから。

本当に良い場面を見させていただきました。
段田さんが幸せそうでした(笑)

普通に見てもザワッとくる、何百回と芝居を見ても、そこまで感じることのないザワッと感を、いま、一番好きな、興味を持ちまくっている女優さんの演技で味わえた、この喜び。
演劇的には、こういう瞬間が「美」を掴んだ、という風に言えるかもしれないな。



『草枕』の至福のひととき、でした。