*オネーギン*

2010年10月16日
『オネーギン』@日本青年館
<雪組>


・・・さて、と。

ネタバレしたくて書くわけじゃないですが、
ネタバレ気にせず書くので、
一切情報入れたくない方は、読まれませんように。

GO!
『オネーギン』初日、見てきました。
少し、いや?まぁ、空席の目立つ客席。
・・・ではあるけれど、良い舞台、佳作って言える、良い作品だとは思うので、
これから徐々に席は埋まっていくと思う。

すごく、すごく、綺麗で、丁寧な舞台です。
景子先生の美意識が、こだわりが、これでもかと詰まっているのを感じる。
美術も、衣装も、何もかも。

構成も上手い。
額縁の舞台美術が、オネーギンを二重構造にする。
そして、プーシキンの存在もね。
私たちが追うのは、オネーギン、彼の人生そのものなんだけど、
でもそれも一つの芝居であるような、見世物。
悲劇でもあって喜劇でもあるって感じで、
そういう所でも、また虚しさとかって感じるよね。

「虚無」、「諦念」そこから逃れられないオネーギンは、
自分の生きる意味、愛を本当は求め続けている。
人と出会い、別れ、時には誰かの影響を受け心を乱されながらも生きて、
でも何もかも、本当に望むものは手に入らない。

こういう空気感って、閉塞的なさ、
ロシア独特のものなのかね。
時代とか全然わかんないけど、野田さんが『贋作・罪と罰』やるってんで、
どすとえふすきーの『罪と罰』読んだことあったけど、
息詰まるんだよね。どっしり重い。
ウィキ見てみたらドストエフスキーとプーシキンは、
そこまで離れてもいないのか、被ることは被る。

綺麗で、丁寧で、上手い舞台で、
人の気持ちの流れもきちんと描かれている。
矛盾も感じない。
憎しみの理由も、愛する理由もよくわかる。

でも、そこに物足りなさの原因がある気がする。

たぶん綺麗過ぎる。全てが。
狂気とか、怒りとか、嫉妬とか、綺麗とは程遠い感情までもが、
整理整頓され尽くした心から生まれてるみたいで、
突発的、感情的に生まれたものじゃなくて、
すごく緻密な計算の上に作られたもののように感じる。

これたぶん、景子先生だからだと思う。
この作品に対するイメージと、植田景子って作家に対するイメージ、
私、ピッタリ重なるわ。
あくまでもイメージだけど、そこまではずれていないと思う。

計算じゃないところで、知識じゃないところで、
感覚とか、直感とかで、芝居書ける人ではない?
でも、たぶん外から見たら「才能」って呼ばれるものが、
きっとその感覚とかに秘められてるんだと思うんだけど、
景子先生、そこをものすごい努力で埋めてる。
絶対そう。
『オネーギン』見てると、植田景子が見えてくるようだもん。

この異常なまでのこだわりを景子先生は自分の魅力に、才能にしちゃえばいいんだ。
そういう道を歩き始めてるんだ。

私はもう清水邦夫みたいな世界が大好きなんだけどね。
『タンゴ・冬の終わりに』が今まで見た芝居で一番好きかもしれないし、
こういう鋭利な美しさって景子先生の芝居には、これからも絶対に存在しないと思うけど、
でも、景子先生の、この芝居の立ち上げかたは、ありだ。

初日のお客さんは正直だったから、
それぞれの生徒への愛情もあるだろうけど、
カーテンコールはダブルであった。
一応って感じもあったけど、宝塚的スタンディングオベーションまで、
きちんと持っていった。

きちんと評価されるべき作品である。
っていうのは、すごく思った。

宝塚だもん、すごく。
タカラヅカファンは宝塚が見たくて、宝塚を見に来るんだもん。
宝塚をきちんと見せてくれる作品を評価しないで、何を評価するよ。
良い宝塚作品です、『オネーギン』。

で、個々に。
もう雪組みんな顔わかるよー!!
すっごいそれが嬉しいよー!!
妃桜ほのりちゃん(95期?)だけがわからなくて、
でも、彼女だけがわからないわけだから、消去法で特定できるし。

プログラムに一人だけ、モンローがいるのも、GOODです。
我らが花帆杏奈!
花帆さんの二幕から登場の、公爵夫人がね、
なんというか、シックな艶っぽさがありまして、
台詞回しとかも全然気にならなくて、美女で、大人で素敵だった。

厳しい話だけど、今回、若者お試しが地味に行われているのでは?
っていうのは思った。
ピンポイントでりーしゃ&まなはると、みうと&朝風の使われ方。
ちょっと気になった。
みうとや、れいれいが革命家メンバーになっても良い所なんだけど、
でも、そこからは外れてる訳で。
みうと氏とか、ロシアンブルー過ぎた辺りから、顔付き明るくなった気がするんだけどなー

まなはるも、りーしゃも二役かな。
革命家の方の、二人の熱さがとっても良い。

未来を想像し、頼もし過ぎて心震えたのが、
麻樹ゆめみ、此花いの莉の一瞬のデュエット。
いの莉ちゃんは今回、若くしてばぁや役なんだけど、上手く演じてた。
ヒロイン・タチヤーナの家に仕えるばぁや。ゆめみさんは奥様。
そんな二人のデュエット。
雪娘強い。

キング、がおりは二幕でメインの出番があるので、
一幕は、キングはまぁね(笑)、見てのお楽しみで、
がおりはモジャモジャ髭付けて登場。
キングなんてもう、一幕二幕ギャップあり過ぎでしょう大賞受賞。
本人も吹っ切れて、面白がってそうなところが頼もしい。
二幕のキングは、バリッバリのイケメン革命家。
髪の毛より金髪に近付いたのかな?
ラギちゃんを彷彿とさせる頼もしいけど、甘いイケメンっぷり。

がおりは役柄に求められるところを思うと、
まだまだ若さを感じるけど、それでも心の広さ、包容力を感じさせる余裕がある。
もうちょっと見せ場があったら嬉しいかな?
ってところではあるけど、こういう老け役的なのも、きっと為になるよね。

轟×舞羽はお似合いです。
実年齢の差を感じさせない(すみれコード入りますよ)。
ミミは、一幕と二幕の立場と気持ちの違いをきちんと見せるし、
元が可愛いから、どんな服着ても、可愛いんだ、舞羽美海。
歌は心配なところあるけど、概ね、ミミ比なら・・・と言ったところ。
フィナーレのダンスソロが舞羽美海っぽくて格好良いっす。

私は傷ついて、嘆き絶望する轟悠ってのが好きかもしれない。
あの硬質な美しさを称える人が、ボロッボロに傷ついていく姿ってトキメキません?
私はトキメク。たぶんドリキンとかそんな感じ?
コムさんに翻弄されるヤツ。
二幕の轟さんは、結構そういう感じなので見てて面白い。
面白いってキュンっとするとか、そういう方向で面白いってことね。

ひろみさんは、カルネヴァーレの詩人の延長線上。
緒月さんは、ラファエルの延長線上にいる気がしてならん。
特にひろみさんはなぁ。
カルネにカラマーゾフ足して、平和に溺れたら、レンスキー誕生!みたいな。
ひろみさんは、かなり心をぐるぐるさせながら堕ちていける人だと思うから、
そういうギリギリのところを彷徨う演技をさせると、
人の心の弱さを実感させられるというか、繊細さが映える。

今回、一幕をひろみさん、二幕を緒月氏で割ったような進み方をする。
緒月さんもひろみさんも、一曲きちんとメインになる歌があるし、
久々きちんと歌聞けて、ファンは嬉しいぞ!

そこそこ歌えるから、緒月遠麻!
そこそこってのは、技術的な面の話で、
気持ちはきっちり伝えてくるから、物語のある歌、歌えるから、キタさん。
芝居の人だもん。

フリルのリボンを首元に巻いちゃうような、衣装。
似合わないかと思いきや、燕尾服と良い、抜群に似合ってるんだけど。
最初の登場の時の衣装とか、黒い燕尾服だったと思うんだけど、
パイピングの感じとか、あれはたまらない。
そのたまらない大道具、セットが、本当に轟さんと同じベッドに酔った勢いで倒れ込み、
更に、オネーギンを自分の女と間違え、
寝ぼけて抱き付こうとるすんだから、誰か写真を撮れと。
公式に発売して売れ、キャトル、と。

トドキタの並びも良い。
ちゃんと同級生に見えちゃう。
貫禄、存在感増したなーと実感するよ。
パーマも良い感じ。
可愛い。
のに、格好良い。

二幕のもみあげは、あれのせいで色っぽさ半減じゃない?
一幕のが色っぽかったよね、大人っぽかったよね?
分断されたもみあげが付いてて、なんかもみあげだけ浮いてる感じがするの。
もったいない。せっかくのイケメンが。

緒月さんの演技は、ただ信じて見てるだけなんで、
いつもその信頼は裏切られないので、今回もそういう意味では同じ。

あ、リサ。リサリサ。
良い女。
私、リサと轟さんの別れの場面が一番好きかも。

にわさんの坊ちゃま呼びは、オネーギンにいつも帰る場所を用意してくれる。

今回特筆すべきは彩凪翔ちゃんの活躍ですか。
キラキラな青年。
ついに彩凪にもスポットライトが当たり始めましたよ。
92期好きなので、嬉しい。
ザッキーがんば、ザッキー頑張れ。
緊張しないはずないけど、でも、
ひたすら稽古をしてきたその積み重ねが、彼を支えてる気がした。

千寿の休演は残念。
しかも、それまでずっと頑張ってきただろうところで、いきなりだったし。
バウで待ってるからね。

さらさはこれまた上手く、タチヤーナの妹・オリガを演じてる。
対称であるべき存在だから、彼女の女っぽさ、可愛らしさが、
タチヤーナも引き立てる。
92期好きなので、嬉しい。

えーっとあとは、天舞音、亜聖辺りが子役をやったり、
他の役でも出てたりするけど、もうすっかり雪組子って感じだ。
あす君、イリヤも、使用人役などで色々な場面に登場。
久城あすの顔、好きだ。

雛月乙葉ちゃん、ひーこ、舞園るりちゃん、のあ、あんこちゃん、ほのりちゃん

辺りが、貴族社会の賑やかし役。
あんこちゃんと、ほのりちゃんのドレス姿、綺麗。

美穂さん、ヒロさんが締めるとこ締めてくださってます。

雪組半分ではあるけれど、足りなさは感じない。
役を埋める役者が揃っている安定感がある。

フィナーレは、ミミを中心にした群舞に、彩那が入ってきて、
着替え終わった緒月が入ってきて、
全員で轟さんを向かえて、踊って、デュエットへ~って流れかな?
ピアノだけの曲で、オシャレかつ格好良い。

緒月さんが、挑発的な笑みを浮かべて踊ってるんですけど、
『ミロワール』の時とかここまで挑発的だったかなぁ?
挑発しようとしていても、向う先がとなみさんであったりで、
客席に正面きって、色気満載で笑うとか、そこまでなかった気が。
釣るわけじゃないんだけど、エサは確実ばら撒いてるよ、あの人。
釣る気はないなら、エサばら撒くなつーの、翻弄される(笑)。

・・・ま、翻弄されるほど、格好良いですよってことで。
若干ウィンクめになりつつ振り向いたりだとか、
あの顔、ずっと見てるだけで、楽しいわ、私。

ここまで散々書いてきて、そんな話で終わりにします。
フィナーレ、他の人見る余裕ないだろうなぁ~・・・