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1/7 パイパー

2009年01月08日
新作を楽しむ。
2009年1月7日『パイパー』@シアターコクーン 19:00

作・演出:野田秀樹
出演:松たか子/宮沢りえ/橋爪功/大倉孝二/北村有起哉
   小松和重/田中哲司/佐藤江梨子
   コンドルズ(近藤良平/藤田善宏/山本光二郎/鎌倉道彦/橋爪利博/オクダサトシ)
   野田秀樹


私個人の受け取り方として、
面白いのか、面白くないのか、良くわからなかった。
なんかどこをどう受け取ったらいいのか、
自分の中で落としどころを見つけられないまま終わった。

初っ端の受け取り方を間違えちゃったかもしれない。
んー間違いではないかもしれないけど、
もの凄く「言葉」に意識を置いて見てしまって、
途中からついていけなくなって、頭の中で処理しきれなくなっちゃったような。

冒頭の松たか子と宮沢りえのやり取りを聞いていて、
『あ、キルの頃に言葉が戻った!』
って、思った。
小気味の良い言葉遊び。
言葉尻を取って、次に繋げていくような、
んで、テンポの良い言葉のやり取り。
この感じの野田さんの言葉が好きなので、嬉しかった。
『こういうのもまだ書けるんだ!』
って。

で、嬉しく思って、最初からもの凄く意識が「言葉」にいっちゃった感じ。

なんとなく、卒論後遺症でもあるのかも。
私が書いた卒論は屁みたいなもんだと思うけど、
でも一応、野田秀樹について卒論を書いて提出。
『走れメルス』、『キル』、『THE BEE』、この3つの戯曲や舞台を比較してみて、
そこから野田さんの変化や、逆に変わらない部分なんかが見付からないかな?
ってなことを書いた。

生で見れないモノは嫌だ~
あんまり話題にしたくない~

と思って、舞台映像とかは軽く参考程度におさめて、
割と戯曲を読んでわかる事を中心に書いたんだけど、
この時、野田秀樹の戯曲の面白さを再認識。
舞台だけじゃわからなかった部分、感じ取れなかった部分が、
戯曲を読むことで再発見できた。

その時の面白さが私の中に残ってる。

今、人がそこにいて演じている生の舞台なのに、
戯曲を読み込むみたいに見ようとしてた自分がちょっと居た感じがする。

だから余計に処理しきれなくなっちゃって、
もっとリアルに感じられただろう所も、サラっと流しちゃって、
結局面白かったのか、なんなのか、良くわかんなくなっちゃったんじゃないかな。
悔しいから、新潮買ってきちゃったよ。

華やかな表の主役は、もちろん松たか子と宮沢りえだったけど、
裏の汚~い主役は、おっさん二人だったなぁ。
野田さんはなんだかいつも以上に良いとこ取りの印象が強かったし(笑)、
野田さんが出てない場面だと、やっぱり橋爪さんが凄い。
橋爪さんは、野田さんが自分を託すことができる役者さんなんだろうな。
パンフレットちらっと読んで思ったけど、
橋爪さんも、野田さんと同じぐらい性格ひん曲がってるんじゃw?
だから、託せるんじゃないかと。

終盤の橋爪さんの狂気と冷静の間で揺れているような芝居は、さすがだった。
コワイ。この人。

松たか子にお母さん、宮沢りえに娘をさせたのは、「声」だろうな。
松さんの声の方が、力強い、生々しさがある。
宮沢さんは、ちょっと夢夢しい声も出るから。
でも基本の関係としては、姉に宮沢りえ、妹に松たか子。
結構、りえちゃんが荒々しい奔放な姉で、新鮮だった。
お松の方が、最初ほえんとした感じで。

野田さんの芝居は、同じ役者が一瞬にして違う役を演じる事がよくある。
そうやって、役が変わる時、一緒に時空も変わったりする。
その辺が演劇ならではで面白いんだけど、
今回ももちろんその面白さは健在。
松さんと、宮沢りえが、それはもう上手く変化するので、
なんの疑問も持たず、見る側もするっと時空を超えられる。

前情報とかすっかり忘れて見ていて、
そしたら舞台奥からいっぱい、いっぱい人が出て来てビックリした。
「だ、誰!?」「こんなに出演者居たっけ?!」
モブとしての演者さんが大勢。
そういえば、蜷川さんとどこかでしていた対談で、
「次の公演は、いっぱい人を使おうと思ってる。」
って言っていたのを思い出した。

この大勢+コンドルズってのは、とても力強い。
振付・近藤さん、さっすが~!

東宝でやった、野田秀樹作・演出で、大地真央主演の『十二夜』を見たことがあって、
なんか、それがこんな感じだったのかな?なんて思ったり。
あ、『十二夜』、橋爪さんも出てなかったっけ?出てた、出てた。

一人一人の身体の動きと、
身体を使って出来る動きの遊びと、
今まで見たことない動き方がいっぱい広がってて、
そんな見た目だけでも、ちょっと楽しめてしまった。

舞台は火星。
火星に住む、姉妹。父親。
そこにやってくる大倉君@早熟な8歳児&さとえり@大倉母・爆乳

鎖骨にあてると骨伝道で記憶が伝わる、「死者のおはじき」。
おはじきに込められた記憶を旅する。

火星にはパイパーっていう、生き物ともなんともいえない、
人の幸せを計る機械というか、なんか、そんなんが居て、
幸せを数値化することで、人の暴力性とかを吸い取ってたみたい。
でもその数値が揺らいだ時、その与えられた数の意味が分からなくなってしまった時、
パイパーは、数値をゼロに戻す。
その為の働きを始める。

「比喩!比喩!」

って台詞で言ってたのが気になるんだけど、
この芝居もしかしたら全部が全部、「比喩」の塊みたいなもので、
あっちにもこっちにも、どこにも、そこにも当てはめられることばかりで、
当てはめて納得してしまったら、それこそどうしようもない気持ちになりそうで・・・

なんか私の許容範囲に対して、
向ってくる情報量が多すぎたんだよ。
私、バカだから。

あと、あれを思い出したの。
『定年食』だったかな。
『毟りあい』と一緒に、筒井康隆の本に載ってた短編。
定年を迎えたサラリーマンを、家族が粛々と家で殺して、
まるでおせちみたいに料理して、食べちゃう話。
でも、その家庭が異常ってわけではなくて、社会全体がそういう流れになっている。
っていう設定だったと思うんだけど。

突き詰めればそうなっちゃうよ?
って話?
そこに向って生きてるだけなのよ?って話?
え~えぇー?

ちょっと次見るときは、ちゃんと五感で見る。
頭で見るのは戯曲読む時で良いんだ。
やっぱ、間違った。
あと下手見えないのは辛い。

・・・あれ、でもやっぱり面白かったのかもな。
いっぱい疑問の種、残してくれたのかもな。
でも、私、種を種としてすら認識できていない感じだけど。

すみません、ちょっと考えさせていただきます。
(新潮買ってきといて良かった~!)
Comment
今年初コメントさせていただきます。
主演のりえさんと松さんはやはり素晴らしかったですね。
姉妹を演じてたと思ったら一瞬で食堂のおばちゃんに変わったりしましたが、
2人とも上手いので違和感なく見られました。
そして、ラスト近くのテンポの良い2人の掛け合いは見ていて圧倒されました。
橋爪さんが地下から自分の食糧を出してくるところは実物を見せていないのに、
そこに在るかのように見せていた演技はさすがでした。
パイパーという存在があのような物だとは想像していなかったので
見ていてちょっと怖かったです。
★ごまさん★
今年もよろしくお願いします!

野田さんのお芝居って、良く一瞬にして演じる役が変わることがありますよね。
役者さんの上手さも、もちろんですが、
ある意味、見る側もその切り替えについていかなきゃいけないような所があって、
それがスムーズにいくと「演劇ってやっぱり面白いなぁ」って所に行き着く気がしますw

橋爪さんと宮沢さんじゃ、あそこ全然違いましたよねぇ!
宮沢さんが特別下手なわけじゃないと思うんで、
やっぱり橋爪さんが上手すぎる!?
凄い役者さんだ!と改めて実感できました。

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