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3/10 さらば、わが愛 覇王別姫

2008年03月11日
2008年3月10日『さらば、わが愛 覇王別姫』@Bunkamuraシアターコクーン

原作:李碧華(リー・ピクワー)
脚本:岸田理生
演出:蜷川幸雄
音楽:宮川彬良
出演:東山紀之 木村佳乃 遠藤憲一 沢竜二 西岡馬


んーっと、昨日が初日ですか?
うーんとね、もっと心理描写が濃い舞台になっても良い気がする。
京劇の衣装の色の使い方は、鮮烈だ。
原色を躊躇なく使った配色に艶やかさがある。
そんな世界で生きる役者の愛憎を描いた作品なんだとしたら、
衣装と同じように、心も鮮烈であるべきだと思う。

まだまだ心が衣装に負けてるような気がしたよ。

ヒガシ(あえて呼び捨て)は、とっても綺麗だった。
男なんだけど女。女なんだけど男。
ヒガシの存在自体は艶かしい。そして、目が冷たくなるようなところが良い。
元々、男としても隙がない美しさを持った人だと思う。
人形みたいだった。
「この人は芯がぶれることなく生きてきた人なんじゃないだろうか?」
見ていて、そんな気がした。

舞台上の動作に表れると思うんだ、その人の生き方が。
ヒガシは動作に隙がない。
日本舞踊をやっている人みたいな隙のなさというか。
踊りで私が好きだな、と思うのは、手先の動きを追っていると線が見える人。
指先がなめらかに途切れることなく流れて見える人ってのがいるんですが、
ヒガシもそんな感じに近かった。ちょっと驚き。
(ちなみに勘太郎でしょ、きりやんもかな、線が見える人。)

ベットの上で割ったスイカ。
この汁が自分の服にはつかないように、
綺麗に、ある意味神経質に動いていたのも、良い意味で目に付いた。
潔癖なのかなぁ?演出なのかなぁ?両方っぽいかも。

動作は良かったんだけど、声がなぁ。
後ろ向かれて歌われると特に何を言ってるんだかわからない。
歌詞がわからないと、損した気分だ。
話にもその分、入り込めなくなる。
これはヒガシだけじゃなくて、遠藤さんにしても同じ。
予想以上に歌えていて、「おぉ!」と思ったのが木村佳乃。
結構、歌良いんだ、木村さん!
ミュージカルとか出たことあるのかな?

常に一定以上の結果を残してくる徳馬さん。
今回の徳馬さんねぇ、良いですよ。
なんていうか、美しいものには性別も何も関係ない。的な金持ち。権力者。
美しいものは、どんな汚い手を使ってでも手に入れそうな、腐った人間な雰囲気も醸し出す。
(富樫の漫画に出てきそうな人じゃ。)
で、ヒガシを触る指がエロい。目線も色気たっぷり。
私が見た位置からは見えなかったけれど、たぶん本当にキスしてたんだろうな。
服は脱がないけど、ベットシーンまであって・・・
徳馬さんが良い感じだっただけに、
徳馬さんが演じる役にはもう少し長生きして欲しかったよ。
もう少し、ヒガシと絡んで欲しかった。

今回、三方を囲むのは壁ではなくカーテン。
『オセロー』のデズデモーナのベットのあの感じ。
紗幕なので、赤い照明をあてれば当然赤になり、青い照明なら青になり・・・
色の変化が綺麗だった。雰囲気がガラっと変るね。
可動式の楽屋内のセットと、あとは京劇用の幕が下がってくるぐらいかな。
特筆すべきは、コクーン全体!
ちょうちんが、ホワイエから客席内まで飾られてました。
中国版新橋演舞場みたいな。
コクーンがちょっと違う劇場
この装飾はとっても面白かった。テンション上がるよ~!

客席内に入るとちょうちんにも驚くけれど、あれ、舞台上に人がいますね。
アップしてる人、多数。しかも搬入口全開。外から丸見え。
舞台が始まる前の段階をあえて見せることで、演じられた世界との差を強調したいのかなぁ。
今日見た限りだと、アップを見せる理由も、搬入口全開の理由も、
いまいち私には理解できない。

アップをしていた兄さん達はおそらく、アクロバティック担当。
ばく転したら、ばく宙したり、新体操見てるみたいで、凄かった。
中国ってなんか、そんなイメージだ。

場面として私が一番好きだったのは、最初と最後のスローモーション。
子役の男の子のスローモーションがお見事。
子供の頃、別姫は6本あった指の1本を母に刀で切られてしまう。
逃げる別姫。刀を持って追う母。
そのスローモーション。

娼婦であった母に指を切られた痛み。
母に売られた痛み。
娼婦の子だと罵られた痛み。
京劇の俳優になるための痛み。
男から女になる痛み。

様々な痛みを抱えて生きている別姫は、
痛みの始めにあった刀に畏怖と、ある種の憧れを感じているように見えた。
この痛みから一時的であっても救ってくれたのが、兄と慕う覇王。
(あ、別姫と覇王ってのは、劇中劇の中の役名ね。
ホントの名前は中国名なんで良く聞き取れなかった)

絶望から救ってくれた存在っていうのは、いつまでも大きいものだろう。
ずっとずっと別姫は覇王を想い続けている。
しかし、覇王は娼婦の女と結婚する。

また別姫は痛みを増やす。

「痛み」の話だと思って見ていた。

話としてはとっても興味深い。
でも、その痛みが辛くなるほど伝わってきはしなかったのが、残念。
もっと救いようのない気持ちにさせてほしかった。
色彩は派手なのに、内面は淡白な印象。

楽に向けて、内面もど派手になってくれたら、もっと面白くなると思う。
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